北朝鮮技術者、日本のスマホアプリ開発…自治体防災アプリなど7件の業務請け負う
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 中国に住む北朝鮮のIT技術者が、日本に住む知人の名義を使って、日本のスマートフォンアプリの開発業務を請け負っていたことが捜査関係者への取材でわかった。報酬は知人の口座から日本に住む親族の口座に送金させ、中国で現金を引き出していた。

 神奈川県警は、国外への不正送金に当たるとして、銀行法違反(無許可営業)容疑などで知人と親族の2人を近く書類送検する。

 北朝鮮は海外にIT技術者を送り出して外貨獲得を行っていると米政府などから指摘されている。県警は、日本のスマホアプリの開発も外貨獲得の一環で、資金の一部が北朝鮮に送られた可能性があるとみている。

 捜査関係者によると、IT技術者は中国・遼寧省を拠点としている40歳代とみられる北朝鮮籍の男。

 このIT技術者は、神奈川県内に住む知人の韓国籍の男(57)の名義を使って、法人・個人とフリーランスの技術者らをマッチングする日本のサービスに登録。日本企業からアプリの開発や修正などの業務を受注し、顧客に納入していた。

 IT技術者は2019年以降、地図アプリの更新や大手通販サイトの出品者サポートシステムの保守管理など7件の業務を請け負っていたという。中には、自治体の防災アプリの修正業務も含まれていた。アプリを開発した企業が、マッチングサービスを利用してIT技術者に発注したとみられる。

 業務への報酬は、契約名義人となった韓国籍の男の口座に振り込まれた後、この男が手数料を差し引き、IT技術者の親族に当たる東京都内の女(75)の口座に送金していた。

 女は口座にひも付けられた自分名義のデビットカードを中国に送り、IT技術者はこのカードを使って、19年2~6月だけで約400万円分の人民元を引き出したという。

 デビットカードは、海外の現金自動預け払い機(ATM)で日本円を現地通貨に替えて引き出すことができる。県警はその特性を悪用した不正送金とみて、手数料を受け取っていた男に銀行法違反容疑、カードを提供した女に同ほう助容疑を適用する方針だ。