広西省チワン族自治区玉林市の警察によると、5月11日、6年前の少女誘拐事件の容疑者で、これまで身を潜めていた63歳の女、劉上英が自首した。
中国の警察は、その5日前の5月6日、重大な女性や子供の誘拐事件の容疑者として6名を公開指名手配したが、劉はその1人だった。

 劉がかかわったのは、6年前の2016年5月に起きた、当時12歳の少女の誘拐。この誘拐に関与し、すでに判決が出された者もおり、裁判資料で事件の経緯が明かされている。  

 少女は広西省チワン族自治区の玉林市内で誘拐され、隣接する広東省に連れて行かれた。そして当時30歳の男、林国省が“妻”として少女を買い取る。
この売買にかかわったのが今回自首した女、劉。林は劉と別の協力者に1万千元(約19万2千円。当時のおおよそのレート1元=16円で計算。以下同様)を払い、少女を買ったという。
林は少女が未成年と知りながら性行為に及んだ。

 少女の悲惨な境遇はこれでは終わらなかった。

林は、その1か月後の6月、仲介者に紹介された別の男、当時33歳の黄先鋭に“妻”であったはずの少女を売ってしまう。
値段は自分の買い値より高い1万5千元(約24万円)。黄もやはり少女を“妻”として買い取り、少女が未成年と知りながら性行為の対象とした。

 さらに3か月後。黄が少女を「売りたい」と考えているのを知った人物が、別の3人を使って“買い主”を探させた。
その1人が“買い主”を見つけ、レストランにその“買い主”の男を連れてきた。黄は少女をその男に1万元(約16万円)で売ってしまったという。

 以上は裁判資料に記された事件の概要だが、何より一連の経緯にかかわった人物の多さに驚かされる。
少女を“妻”として買った男だけでも3人、自首した劉や上に触れなかった仲介者なども合わせると10人以上の関係者が登場する。

https://news.yahoo.co.jp/byline/miyazakinorihide/20220512-00295707