※2022/05/11 07:00朝日新聞

 ネットでの誹謗(ひぼう)中傷が深刻化する中、侮辱罪を厳罰化する刑法改正案の衆院での審議が山場を迎えている。今国会で成立すれば今夏に施行される見通しだが、野党の一部や日本弁護士連合会は表現の自由を脅かすとして反対している。

 侮辱罪の対象は「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱」する行為で、現行の法定刑は刑法で最も軽い「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」。改正案は罪の構成要件は変えず、法定刑に「1年以下の懲役・禁錮か30万円以下の罰金」を加えた。公訴時効も1年から3年に延びる。

■「バカ」は侮辱罪 「不倫している」は何罪?

 よく似た罪の名誉毀損(きそん)罪は公然と「事実を摘示」した場合に適用される。その「事実」がウソか本当かに関わらず、3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金となる。

 一般的に「バカ」「無能」などの暴言には侮辱罪、「不倫している」「前科がある」などと「事実」まで示したら名誉毀損罪に当てはまる場合がある。

 2016~20年に侮辱罪のみで刑事処分を受けた人は計120人。ネット中傷が目立ち、「便器みたいな顔」「変質者」などと書き込んでいた例があった。

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/asahi/nation/ASQ5B5VDJQ56UTIL03F