ワイ「看守さん……今朝の新聞は?」看守「チッ……ほらよ」
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ワイ「ほうほう……アメリカではウィルスミスがビンタ……アジアの方ではジャパンの吉野家関係者が生娘をシャブ漬けにすると問題発言で炎上……ロシアのプーチンが核の使用を示唆……中国のは上海ロックダウンに住民が苦しむ……」
ワイ「フッフッフッ……フハハハハハハァアアーーーーーーーー!!!!面白い!!!実にいい!!!いいぞ!!!!!これから来るんだよ!!!混沌の時代がァ!!!」
看守「おいうるさいぞ!!!!!静かにしろ!!!!自分が死刑囚であるという身分を忘れ」
バイデン「……少しいいかね?」
看守「!!!!!! バ、バイデン様!!!!!!」
ワイ「おや……これはこれは……新合衆国大統領が一体なぜこんなゴミの掃き溜めへ?」
バイデン「……君の力を貸してほしい……かつてアメリカを一人で相手にした君の力が」
ワイ「………ほう」 新聞は購入すれば毎日自由に読めるぞ
購入していなくとも回し読みで15分間程度読むことができる 朝の掃除を終わって間もなくのことだった。突然、廊下に大勢の靴音が高らかに鳴り響いて来たのである。
お迎えだ!お迎えに違いない!地獄の使者のような靴音。瞬間僕の魂は震え上がった。
僕は吸い寄せられるように扉に近づいた。胴震いしながら視察孔から廊下の左の方を伺った。僕の部屋、つまり南側25房から15mほど離れたところに。大きなつい立てがある。胸の動悸を全身に感じながら、僕はそこを必死で見ていた。
ついたての陰から、まず私服姿の小柄な教育部長が現れた。続いて、制服の役人が十人あまりはいって来た。そのとき事務室から、係長が出てきた。係長は、教育部長を挙手の礼で迎えた。それから僕の部屋を指して、そばの看守に目配せした。
僕は息が詰まった。もう外を見ていられなくなった。僕は、弾かれたように扉のそばを離れた。首筋から背中にかけてゾッとするほど冷たいものがへばりついていた。僕は机にもたれかかるようにして座った。係長は確かに25房を指した。うろたえてはいたけれど、はっきりとそれを見たのである。僕は胸の早鐘を聞きながら、人心地もなく机にしがみついた。粗末な机がガタガタ鳴った。「早く来やがったな!」そう思った。
YもMもOもKも、僕より早く確定している。それなのに僕の方へ来やがった。
ついたてのところでいったん停まっていた靴音が、再びいっせいに鳴り始めた。地獄の使者はいよいよ迫ってきた。もう駄目である。今に僕の部屋の鍵穴に、大きな鍵ががちゃりと差し込まれる。黒い制服の役人が、さっと部屋の前を取り囲む。教育部長に「いよいよお別れだよ」と告げられる。それで万事休すだ。あとは身支度をする。多勢の役人に引き立てられて刑場に行く・・
いやです!それだけは許して下さい。
両手を背中で組み合わせて手錠をかけ、身体を足の先まで縄でぐるぐる巻にして死刑台に立たせるのだけは許して下さい。僕の首に縄をかけて宙吊りにするのだけは勘弁してください。その他の償いだったらどんなことでもしますから、それだけは許して下さい。
両方の目の玉を抜き取って出せとおっしゃるなら、いつでも出します。両腕を切って落とせとおっしゃるなら、喜んで差し出しましょう。一生涯ここに閉じこめておいてもかまいません。せめて病気にかかって自然に死んでしまうまでは、このまま生かしておいてください。
靴音が、いっせいにやんだ。急に静けさを取り戻した廊下で、部屋の入り口の柱に取り付けられている鍵穴に大きな鍵を差し込む独特の金属音に続いて、扉をがっちり止めていた鉄のアームが、がたんと下に落とされた音が聞こえた。だがそれは、僕の部屋ではなかった。向かい側だ。
何房だろう?
いや、何房でもいい、とにかく僕ではなかったのだ。違っていた。僕はどうやら助かったらしい。
胸が熱くなった。涙がこみ上げてくる。しかし、この涙は助かった安堵と喜びの涙ではなかった。窓の外には明るい太陽が輝き、雀達が生命の歌をさえずりあっているというのに、鉄格子のはまった冷たいこの部屋で、こんなにまで死におびえ、靴音に震え上がらなければならない自分が急にこの上もなく哀れに思えたのだ。
しかも高い塀の向こうからは市電の唸りや、自動車のクラクションなど、活気にあふれた物音が絶え間なく響いてくるのである。
同じ人間に生まれながら、たった一度のつまづきが、こうまで人生を変えてしまうのだ。僕はあふれる涙を何度も手の甲でぬぐった。 これが、当時38歳のNが書いた処刑の恐怖である。彼はこの11年後に移転した福岡拘置所で死刑を執行された。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています