プーチン政権逃れイスラエルへ ロシア人の移住相次ぐ
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ロシア軍の戦車がウクライナに侵入してきた瞬間、映画制作者のアンナ・シショワボゴリュボワ(Anna Shishova-Bogolyubova)さんとドミトリー・ボゴリュボフ(Dmitry Bogolyubov)さん夫婦は、祖国ロシアを去らなければならないことを悟った。

【写真】「プーチンに祖国奪われた」と語るロシアの言語学者、オリガ・ロマノワさん

「次は私たちの番だ」と夫婦は感じた。ボゴリュボフさんによれば、ロシアでは「外国の代理人」に指定されると、「自己検閲や、遅かれ早かれ刑務所送り」の人生に直面する。今は、イスラエルの閑静な町レホボト(Rehovot)でアパートを借りて暮らしている。

 ボゴリュボフさんは2019年、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が地方圏で自身の権威を高めるため、ナチス・ドイツ(Nazi)との戦いを引き合いに出す様子を描いたドキュメンタリー作品『Town of Glory(原題:栄光の町)』をドイツの資金で制作した。

 しかしロシア政府は、国際的な孤立が深まる中、外国資金で制作された映画やドキュメンタリー作品に疑いの目を向けるようになった。ボゴリュボフさん夫婦も例外ではなかったという。

「ここ数年、脅威を感じていた。特にここ数か月は当局の監視が張り付き、映画のセットも写真を撮られていた」と、シショワボゴリュボワさんは話した。

■永住か、仮住まいか

 ここ7週間にウクライナとロシアからイスラエルに流入した移民の数は、ソビエト連邦の崩壊によって1990年代初頭に起きた大規模移住以来の多さとなっている。

「ここなら安心してゆっくり眠ることができる」とシショワボゴリュボワさん。「でも、この先ずっとここで暮らすかは分からない。仕事次第だ。今はただこの瞬間を生きて、気持ちを落ち着かせたい。後のことはそれから考える」

 市民権を取得した人たちにとっても、イスラエルは未知の土地だ。ロシアへの郷愁は隠せない。

「私は祖国を失った。盗まれてしまった。プーチンとKGB(旧ソ連国家保安委員会)の悪党たちに奪われたのだ」と、ロマノワさんは物憂げに語った。