東京都による尖閣諸島(沖縄県石垣市)の購入計画を石原慎太郎・元知事が表明してから、17日で10年となる。都は購入資金として15億円近い寄付金を集めたが、国が地権者からの買い取りを決断し、半年後に国有化。14億円超が今も宙に浮いている。

 当時、都庁内では、寄付金を返すべきだとの声が上がった。しかし、寄付者は10万人を超えており、匿名の人も多く、難しかった。一方、「購入資金」として寄付を募った以上、使途が特定されない一般財源に組み入れるわけにもいかない。都は「基金」として残すことを決め、13年3月には条例を整備し、使途を「国による尖閣諸島活用の取り組み」と定めた。

 以降、都は国に、船舶の停泊場所の設置などを要望してきた。内閣府の担当者は「都とは意見交換している」とする。

 結局、集まった寄付金のうち、これまでに使われたのは、調査や啓発活動に用いた約8000万円だけだ。東海大の山田吉彦教授(海洋政策)は「国民から寄付を集めた責任の所在が曖昧になっている」と指摘する。

https://news.yahoo.co.jp/articles/8a7de914311bdf8a661e6a2bafc2629d36ab68dc