元陸将・中部方面総監山下裕貴
「今の自衛隊の防衛能力は、不十分です。
冷戦終結後から、陸上自衛隊は縮小し続け、限られた予算は、
海上自衛隊と航空自衛隊に集中してきました。
その結果、かつて1200両だった戦車の定数は現防衛大綱ではたったの300両。
火砲も1000門から300門に減少しました。
また、マスコミでは盛んにジャベリンなどの対戦車ミサイルの有効性が喧伝されています。
しかし『戦車や装甲車は不要で、ミサイルがあればいい』という考え方は誤りです。
日本に上陸された後、守るだけでは勝てません。反撃が必要です。
専門用語で『機動打撃』と言いますが、敵の攻撃を破砕し、蹴散らす必要があるわけです。
そして『機動打撃』をおこなうには、戦車と装甲車、それに火力が必要です。
さらに言えば、自衛隊にもジャベリンに似た01式軽対戦車誘導弾がありますが、数が足りません。 そして、戦車や火砲なども含めて数が必要になった場合に量産することができるような生産体制もありません。
こうした防衛産業の脆弱さも問題ですね」