なぜなら他人の考えはどれをとっても、ちがう精神から発し、ちがう体系に属し、ちがう色合いを帯びているので、決して思想・知識・洞察・確信が自然に融合してひとつにまとまってゆくことはなく、むしろ頭の中にバベルの塔のような言葉の混乱をそっと引き起こすからだ。

他人の考えがぎっしり詰め込まれた精神は、明晰な洞察力をことごとく失い、いまにも全面崩壊しそうだ。
この状態は、多くの学者に見受けられる。そのため、良識や正しい判断、場をわきまえた実際的行動の点で、学のない多くの人のほうがすぐれている。
学のない人は、経験や会話、わずかな読書によって外から得たささやかな知識を、自分の考えの支配下において吸収する。



ええんか?