ある男が精神科医を訪ねて、こう訴えた。

「私の半生は悲惨の一言だ。
 もう人生になんの希望も持てないんだ。
 世間だってひどいものだ。
 先の見えない不安定な社会を、たった一人で生き抜く辛さがわかりますか?」

医者はこう答えた。

「簡単なことですよ。
 今夜、あの有名なピエロのパリアッチのショーがありますから、行ってきなさい。
 笑えば気分もよくなりますよ」

突然、男は泣き崩れた。
そして言った。

「でも先生……

 私がパリアッチなんです」